「説明書……無いと思ったらあんたが盗ってたのね!」

どうやらこの説明書は、南天さんが見和さんから盗んだ物だったらしい。

「えっと、まずはこのボタンを押す……」

説明書には絵付きでかなり詳しく書かれているので、機械音痴の私でもなんとかなりそうだ。
説明書の通りにボタンを押していくと、ピピピと音が鳴った。

「えっ、こんなこと説明書には書いてない!」

今まで音が鳴ることはあったが、ちゃんと説明書に理由が書かれていた。しかし、説明書を何度みてもこのボタンを押して音が出るとは書かれていない。私は嫌な予感がした。

「あははっ!まさかこんなところで引っかかるとは思わなかったわ!」

見和さんは捕まっているとは思えない表情、声で笑い続けた。

「いざというときのために、説明書を一部書き換えといてよかったわ!」

南天さんはなんて奴だ、と呟く。

「そのボタン押しちゃったら、この塔爆発して太部にいる奴はみんな死んじゃうわよ。当然あんたたちも!」

そう言い終えた見和さんの胸ぐらを南天さんが掴んだ。

「あんた、自分がやってることわかって言ってんの!?」

ああ、どうしよう。太部の人を巻き込むなんて……この状況を変える選択肢が見つからない。
追い打ちをかけるように、私の目に残り時間1時間15分という文字が焼き付けられた。