とある村に、大きな家がありました。そこにはお手伝いさんと、お金持ちの家族が住んでいました。

しかし、この家に住んでいる子供が、外に出ているところを見た人は誰もいません。

子供は、いったい何をしているのだろう?

と、村の人は不思議に思っていました。



「お兄ちゃん!開けてよ!」

私は藤野 桃子。今、自分の部屋から閉め出されている。

部屋には見られたくない物をいっぱい隠してあるので、一刻も早く中に入ってお兄ちゃんを追い出さなければいけないのだ。

「開けて!開けてよ!」

私はドアをドンドンと叩く。しかし、お兄ちゃんはドアを開けない。

「鍵かけたから開かないよ。えっと、ももこのお話。これは」「読まないで!」

なんと、お兄ちゃんは私が書いたお話を読み始めた!

「昔のお話です。あるところにお姫様が住んでいました」

お兄ちゃんはさっきより大きな声で読み始める。私はもう、怒りが限界に達した。

「貴様、いい加減にしろ!開けろ!」

私はもっと強くドアを叩く。お母さんが気付いてここに来る。

「ももちゃん、何をしているの!」

「お兄ちゃんが部屋に入れてくれなくて」

私がそう言うと、お母さんはどうしようもなく険しい顔をし、鍵を開けてお兄ちゃんを部屋の外に出した。

そして、お兄ちゃんは私を部屋から閉め出したことで、私は汚い言葉を使ったことで叱られた。


叱られた後、私は部屋に戻って、窓の近くの椅子に座った。

「早く家の外に出たいな」

窓の外を見ながら呟いた。私は外に出ることをあまり許されていない。

外に出るときは、お母さんにどこに行くかをきちんと伝えて、水筒やハンカチを持っているか確認する。

そして遊ぶ人の中に男の子はいるのかも聞かれる。門限は4時。

とにかくお母さんは過保護だ。そしてお母さんはなぜか、私たちが近所の人に見られることを嫌がる。それで近所の人の中には私たちの存在すら知らない人もいる。

他所に比べて少し豪華らしい家に、たくさんの物を大人たちに与えられるがまま、閉じ込められる。
お金持ちがうらやましいって友達の笑莉は言うけれど、全然楽しくない。

普通の子みたいに自由に生きたいなあ……