熱い夏の日

掴まれている方と違う腕を誰かに引っ張られ、そのまま腕の中へ。


「俺らのツレに何か用ですか?」


頭の上から聞こえてきた声は颯だった。

私を立たせてくれた男の人は、慌てる事なくスッと私の手を離す。

その事に気付かないくらい、私は頭が真っ白だった。

だって、今、私は颯に抱きしめられているのだから。

Tシャツ越しに感じる颯の身体は、ほどよく筋肉がついている。

そして、私の肩に触れる颯の手は、中学の時に感じたより、もっとゴツゴツとした男の人の手になっていた。

そんな颯を感じ、私の心臓は煩いくらいに動く。

颯に聞こえるんじゃないかってくらいに。

今だって、私の耳にはっきりとドキドキと早く動いている心臓の音が聞こえてくる。


……って、あれ?


私の耳に聞こえてくるのは、颯の心臓の音?


私は颯の胸に耳を当てる。

すると、颯も私に負けないくらい早く心臓が動いている。