「なぁ、穂香。ゆう兄の分はいいのか?」


ゆう兄というのは、瑞希のお兄さん。

今日、瑞希はゆう兄と二人で出店をやると言っていた。

穂香も小学校からの付き合いだし、もちろんゆう兄の事は知っている。


差し入れをするのに、瑞希の分だけじゃ……


なんて思って聞いてみると


「大丈夫!ゆう兄の分は持って来ているから!!」


穂香は気合い十分に答える。


そんなに張り切らなくても……


とも思うが、穂香はゆう兄の事が好き。

まぁ、それは本人から聞いたわけではないが、穂香を見ていてそう思う。

だから、ゆう兄に会えるのが嬉しいのだろう。

そうこうしているうちに、瑞希のいる出店が見えてくる。

そして、俺の足どりも自然と早くなる。

早く会いたい。

少しでも一緒にいたい。

それくらい瑞希の事が、好きなんだ。

瑞希のいる出店が近付くにつれて、瑞希とゆう兄の話し声が聞こえてきた。