花火大会、当日――…


今年もアイツと一緒に来る事が出来なかった。

今日は、尚人と慎也、穂香と文乃の五人で来ている。

俺以外の四人は、花火を楽しみにしているけど、俺の目的は違う。


出店の手伝いをしているアイツ……


笹本 瑞希

幼なじみで、俺がずっと想い続けている女。

花火大会や夏祭りには、瑞希に会うためだけに来ている。


「あっ、颯、待って!」


俺の目的地である、瑞希がいる出店に向かって歩いていると、穂香が呼び止める。


「何?」


振り返ると


「瑞希に差し入れ買うから待ってて」


そう言って、穂香は文乃とかき氷のお店に並ぶ。

そして、数分後。

いちごのかき氷を一つ持って、俺達の所へ戻って来る。