“颯に好きな人がいる”

その事にショックを受けながらも

『ただ、触れたいって思うだけ』

そう言いながら私に触れる颯。

頭の片隅で


それって私?


そんな風に期待してしまっている私もいる。


颯は私の頬に手を添えたまま、じっと私を見つめる。

颯に触れられている。

颯に見つめられている。

そして、颯の好きな人って……


いろんなドキドキが混ざっている私。

だけど、颯は黙ったまま。

私は、耐え切れず口を開く。


「ねぇ……、颯の好きな人って誰?」

「お前、それマジで言ってんの?」


私の言葉に颯は少し苛立ちを見せる。


「わかんねぇーのかよ!俺が好きなのはお前だって事が!」


颯の言葉に固まる私。

だって、嬉しい気持ち以上に信じられない気持ちが大きいから。