「高校生活最後の夏休み。ハメを外さないように……」


今日は終業式。

担任が「受験生なんだから」とか、夏休みの注意事項みたいな事を話す。

うちは進学校でもないし、結構自由な校風だから、普段は「勉強、勉強」とは言われない。

だけど、私達は受験生。

だから、さすがに「今頑張らないと……」とは言われたりする。


「――…以上」


担任の長い話からも解放され、高校最後の夏休みが始まる。


「ハメを外すなって、結局、夏休みも講習で学校来るんだから、そんな遊べないじゃん」


「うーん」と腕を伸ばし、机に伏せる私に


「じゃぁ、講習が休みの日は遊ぼうよ!海行ったりさ。それに花火大会とか夏祭りもあるんだし」


帰り支度を終わらせた文乃(ふみの)が、私の隣の席に座る。

私は、机に伏せたまま顔だけ文乃の方へ向け


「どーせ、私、花火大会も夏祭りも店の手伝いだし」


と拗ねる。


「そうだよね。瑞希(みずき)の家、毎年出店出してるもんね」


私の前に座る穂香(ほのか)がくるっと振り返り言う。