花火大会、当日――…


今年は店の予約も入っていたから、両親は店を、出店は私とお兄でやる事に。

と言っても、店が落ち着けば、お母さんもこっちに来てくれるけど。


少しずつ人が集まり出している。

私とお兄は暑い中、必死に準備をする。


「ねぇ、お兄さぁ……。花火大会とかお祭りとか、彼女と行きたいとか思わないの?」


お兄には高校の頃から付き合っている彼女がいる。

お兄もいつも手伝っているから

“行きたいと思わないのかな?”

って思い、聞いてみたのだけど


「やっと颯とくっついたか!」


私の質問にニヤニヤしながら返してくる。


「はぁ?誰もそんな事言ってないし!っていうか、付き合ってないし!」

「なんだ」


残念そうなお兄。


「っていうか、何で颯なのよ」

「だって、お前、昔から颯の事好きだっただろ」

「えっ……」


な、何でバレてるの!?


私が颯を好きな事を知っているのは穂香と文乃だけ。

お兄には言っていないのに。