熱い夏の日

えっ?なんで?


私は驚き、颯の顔を見上げる。

颯はまっすぐ相手の男の人を見ていた。

そんな何でもない表情でさえ“カッコイイ”と思ってしまう。


私、颯に相当惚れているな。


私が颯に見とれていると


「なんだ、男と一緒だったんだ。ごめんね」


と、男の人達は手を降りながら、あっさり去って行く。

男の人達が行った後、


「お前、何やってんの?」


颯は私を見下ろし、機嫌の悪そうな言い方をする。


「な、何って……」


何で急に颯の機嫌が悪くなったのかわからず、とまどい、口ごもる。


「ぶ、ぶつかっちゃって尻もちついたのを立たせてくれたんだよ!」

「下向いてるから、ぶつかんだろ」

「えっ?何でそれを……」


知っているの?


「何でって、歩いて来るのが見えたから」


素っ気なくそう言うと、抱きしめていた腕を離し、そして、私の手を取り


「今度はちゃんと前見て歩けよ」


と、歩き出す。