「それじゃ、帰ろうか。」

 外はすっかり夕焼けにそまっていた。

 その景色をカメラにおさめる。

 この時間はもうやってこないから。





「じゃ、また明日ね!」

「またね~。」

 手をふって、かをちゃんと別れた。

 朝とはまた違う寒さだ。

 カメラで今日撮った写真を確認しながら、ふとおもう。

 そういえば、櫻坂君は、写真を見たのだろうか、と。

 そう考えると、途端に恥ずかしくなってきた。

 写真部で作品を展示することはあっても、普段のものは趣味だ。

 これからは気を付けよう。

 そう誓った。


「ただいまぁ。」

「あ、お帰り。」

 ドアから顔を覗かせたのはお兄ちゃんだった。

 何でもできてしまう兄である。

 兄がイケメンだと、身内でも思ってしまうほどの美貌。

 名前は翔大(しょうた)。大学生で二十歳。家事が得意。現在、彼女募集中。

「あら、凜、お帰りなさい。」

 洗面所からお母さんが出てくる。

「ただいま。」

 手を洗って自分の部屋へ直行。

 制服から部屋着に着替えて、写真をパソコンに取り込みながらメールをチェックしたり、今日出た課題を確認する。

 写真を取り込み終えたら、カメラを充電しだす。

 これを毎日、楽しくやっている。

 さて、今日は課題がないので、夕飯までごろごろしよう!