今、私は食堂に急いでいる。

 何かとしか言われなかったけど、何がいいのかな。

 櫻坂君のイメージとしてはブラックコーヒーだ。

 甘いものとかダメそう。

 ラッキーなことに自販機はすいていた。

 コーヒーに一応お水を買って、中庭に急ぐ。



「さ、櫻坂君。買ってきたよ。コーヒーと水、どっちがいい?」

「コーヒーって無糖?」

「そうだけど」

「じゃあ、水ちょうだい。」

 意外。

「苦いのダメだった?」

「・・・・・・ちげぇよ。コーヒーみたいに少しも甘さがないのがダメなんだよ。わ、悪いかよ。」

 それを見て、そっぽを向きながら言う彼は可愛いと思った。

 その人の一面だけではどんな人かわからない、そう感じた。

 私も櫻坂君の隣に座って少し乱れた息を整えながら缶コーヒーのプルタブを開けて一口飲む。


「・・・・・・に、にがっ!?」

 コーヒーってこんなに苦いの!?

 私は今世紀最大といってもいいほど顔しかめた。

 と、そのとき。

 隣から聞こえてきた声。


「お前、ヘン」

 クスクスと優しく、小さな笑い声に優しい笑顔。

 その姿に目を奪われる。

「な、なんで、苦手なのに飲んでるの?・・・可笑しい」

 笑いすぎて目にたまった涙をぬぐう姿も綺麗で。


「いい。」

「え?」

「笑った方がいい!」

「は?」

「笑わないと・・・人生、楽しくないよ。」

「大きなお世話。」

 そうですねと呟きながら視線を落とす。