「・・・・・・。」

 とうとう、昼休みになってしまった。

 四時間目はわたしの嫌いな化学だったが、永遠に終わらなければいいと思った。

「ほら、凜。早く行って来なさい。」

 かをちゃんはホワイトな笑みを浮かべている。

 楽しんでる、ということがよーく分かる。

 そんな笑みに見送られて、私は悪魔のもとへ。

 中庭、それは恐怖の場所。

 何か、私、厨二病っぽい。

 でも、断じて、違いますから!!

 中庭を見ればそこには本を右手に持った櫻坂君が。

 他に生徒は見当たらない。

 あの姿だけ!見れば本当に王子だ。

 頑張るんだ、凜!

 フゥ・・・・・・

「さ、櫻坂君!!」

 櫻坂君は読んでいた本を閉じてこちらを見る。

「遅い。」

 それだけ言って、横をポンポンと叩いた。

 ん?

「ここ、座って。」

 あぁ。なるほどね。

 櫻坂君のとなりに距離をおいて座る。

「それで、私はいったい何をすれば。」

「ん。」

 櫻坂君は、右手をつきだしてくる。

 私も手を出せば、そこに百二十円おかれる。

「のどかわいた。何か買ってきて。」

 おもちゃって、そういうことデスカ。

 でも

「私、足遅いですよ?」

「いいよ。まだ、時間はあるし。」

 びっくり。

 てっきり、走れって言うものだと

「何見てんの?早く行って来て。」

 うん、やっぱ怖い。