月夜に悪魔




『皐月…散歩に行ってくるね』


皐月はそう言って家から出て行った



水を操る魔法はマラッサがやってくれた


あいつも悪魔だったらしい



俺はバランの部屋にツカツカと迷いもなく歩み寄って行った



バンッと思いっ切り扉を開き、ソファーに寝転んで顔に本を被せているバランの胸ぐらを掴んだ



「皐月からの花輪、なんでいらないなんて言った?」


「……………」



それでもバランは冷静に沈黙を続ける



「答えろよ…!!あいつがどんな表情で戻って来たかおまえは知らないだろ?!泣きそうな顔してたんだそ!」


俺は怒りで手が震えていた



皐月も同じだ、大切な人のために怪我してまでつくった花輪


それを拒否したバラン



許さない


許さない



はらわたが煮えくり返っている


「…………俺は悪魔だよな…フィート」



「そうだよ、それがなんだ?今必要なことか?」


「悪魔は…生気を奪い取るんだ…、花は枯れる」


「…………?」


「どんなに一生懸命作ったって、俺に渡せば枯れてしまうんだ。おまえとは違う」



たしかにそうだ


花はこいつの手に渡ったら枯れる