真綾の第一印象は"不良ぽいな"。

髪は派手に染めていて、まだ入学して間もないのにピアスホールは開いてきて、


制服もブラウスは第二ボタンまで開けてるし、学校指定のカーディガンやセーターなんて着ないで、


パーカーを羽織っている。


そんな彼女を見れば誰だって近づきたくなくなるだろう。


…私も、最初はそうだった。

関わったら多分いけない、と本能が働いていた。


けど、彼女のその姿はどこか私と似ているとこがあって。



人と関わらず、自分の殻に閉じこもってた頃の私に似ていて。


心のどこがで、気にはしていた。

そんな矢先に汐音が真綾と話したと言うのを聞いて、


もしかしたら自分も少しは彼女と関わりがもてるかもしれない。


そう少しの期待を膨らませていた。



ーー…

『……あんたも、なんなの…本当に』

呆れ顔の真綾。
それでも最初の頃は話し掛けてもフル無視だったのに、


今では話し掛けたらちょっとは返してくれるようになった。


汐音も最近は言葉のキャッチボールが続いててすごい嬉しい!とか喜んでいたっけ。



それから嫌々ではありながらも真綾は私たちと行動してくれるようになった。



ーーそんな真綾が今となっては



私たちのことを、大切に思ってくれて優しくて前に比べて真面目になった。


そんな風に変えたのは紛れもなく汐音。

そして、私たちを導いてくれたのも汐音。


本当に汐音には感謝してもしきれない。


ーーだからこそ、私と真綾は

あいつが……長谷川くんが死ぬほど許せないのだ。



そんな他人思いの優しい汐音を傷つけるあいつは許さない。


ーーーけど。


あいつが時に見せるあの切なげな表情はなんなの…?


汐音たちは全然気づいてなかったけど、




ねえ、長谷川くん。


あなたは、何を思っているのー…?