くりくりとした瞳が私を見下ろしていた。
彼はまだ動かない。
暗くても、長いまつ毛が白い肌に影を作っているのがわかった。背は高いけれど、大きな瞳やふわりと少しだけはねた髪のせいで可愛く見える。

(……しまった、凝視しちゃった)

「あの、何か用ですか?クラスにはもう誰もいませんけど」

確かに私は可愛くない。「女の子」として自分の身を心配する必要はない。
しかし全寮制の私立が故に、カツアゲだとかそういう悪行がはこびっているのが現状としてある。
自分がその対象ではないか否かといえば――いわゆる「絶好のカモ」だろう。とりあえず、人並みにお金はある。

しかし、彼は何の反応もない。よく見ると瞳の焦点があっていない。

「おーぎやまあぁぁぁ」

いよいよ怪しいと思ったとき、階段下から叫び声が聞こえた。彼が声のする方を向く。

誰かを呼んでいるようだった。

私も声が聞こえた方へ顔を向けた、瞬間。