明るい光の下でよくよく見れば、彼女――トミさんは可愛い顔立ちをしている。
スカートの丈や上げられた前髪などが真面目な部分を目立たせているが、顔立ちは華やかだ。

(扇山くんの彼女とか?)

だとしたら内心穏やかではないだろう。

昨日は気付かなかったけれど、もしかしたらすごく怒っているのかもしれない。それはやばい。もしかしたら人気のないところでシメられるのかもしれない。

そこまで考えて、首をふる。まさか。
そんな子には見えない。……でも人は見かけによらないというし……いやでも…まさか……


「三倉さん」

いきなり名前を呼ばれて「はひぃぃっ」だなんて変な声が出た。恥ずかしい。

「……どうかしましたか?」
「いや、別に……なんでもないです」
「そう?……それで、一つ聞きたいことがあるんですが」

トミさんはもったいぶるように言葉をきる。


「昨日のアレってファーストキスなんかじゃないですよね?」