「白川ぁ?もう疲れてきたのかぁ?俺はまだピンピンしてるぜぇ?」

「はぁっ……はぁっ……っ……クソがっ!」

リッサは、舞台の下で軍服男と1対1で交戦していた。リッサは警備兵の死体に刺さっていたナイフで、軍服男は自分の持っていたナイフで戦っていた。

「傷をつけられたのは今の所……4ヶ所か。大したもんじゃねぇか。俺に4ヶ所も傷をつけたんだなぁお前。まぁ、明らかに俺の方が上だけどなぁ!」

そう言うと軍服男は、リッサに迫った。そしてナイフを勢い良く振りおろした。

「ぐっ!!」

リッサはナイフで受け止めたが、受け止めきれず片膝をついた。

「そろそろっ……終わりにしようか……。」

軍服男はハンドガンを取り出し、リッサに向けた。その時、

「おらぁっ!!」

俺は横から軍服男に向かって蹴りを入れた。見事に当たり、軍服男は舞台の上に吹っ飛んだ。

「リッサっ!!」

ドサッ……

リッサは、疲労で倒れ込んだ。

「……九条っ……最後までっ……仕事しろよ……油断っ……するな……。」

「あぁ……分かってる。」

リッサを抱き上げ、壁の角に座らせた。自分の着ていたジャケットをリッサにかけてやった。

ガララッ……

「……あ〜いててて……随分やるようになったじゃねぇかぁ?九条。」

ゴキンッと首をならし、軍服男が舞台から降りてきた。

「あぁん?なんだよ、随分スッキリしたじゃねぇか。」

「……こっちのほうが、動きやすいんで。」

俺は上にタンクトップ1枚しか着ていない。今まで受けた傷口は開き、包帯から血がにじんでいる。

「……これじゃあ俺が有利になっちまうなぁ。」

そう言うと軍服男は、上着、シャツ、ネクタイを外し、防弾チョッキを脱いだ。軍服男もタンクトップ1枚という状態になった。

「これでイーブンだ。……さぁ、殺るか?」

「……喜んで!!」

俺は軍服男の顔面に左フックをした。しかし、攻撃を抑えられた。

「っ……いいねぇ!」

軍服男はそう言うと、俺の左脇腹に膝を入れた。

「ぐがっ……ぁ……っ!」

俺はよろけた。

「だがまだ甘いなぁ。」

軍服男の攻撃は止まらない。よろけたところにハイキックを受け、床に倒れ込んだ。

「うぐっ……はぁ……っ!」

「……まだまだだな。さぁ、起き上がって攻撃してみろ。」

俺はフラつきながら立ち上がった。

「っ……なんで……すぐっ……殺さねぇんだ……。」

俺は途切れ途切れに聞いた。

「ん〜?……そんなの、俺が楽しいからに決まっているだろぅ。授業は、楽しくなきゃなぁ。」

「……そりゃどうも。」

そう言うと、俺は軍服男にハイキックをし、男がよろけた瞬間、腹に拳を入れ、手を組み頭めがけて振りおろした。軍服男は床に倒れた。

「ぐっ…っ………はっ……はははっ!!」

不気味に笑い、軍服男は後掃腿をした。

「うわっ!!」

お互いに倒れ、起き上がりを繰り返した。何度も何度も倒れては起き上がった。

「があっっ!!」

「ふんっ!!」

ドゴッ……ドカッ……バキッ……!!

……お互い、気付いてはいなかった。もちろん俺自身も。俺とその男は、笑いながら殴りあっていた。