「あっ、連絡先ですよねっ。交換しましょう!」


さりげなく話題を変えるべくそう言って、スマホを探した。


「あ、あった」


机の中から取り出したスマホを山本君に渡した。


山本君は受け取ると、自分の青色のスマホを取り出し操作し始めた。


あっ、山本君と私、スマホ色違いだ。


私はそんなことに気づくと、無意識のうちに小さく微笑んでいた。


今まで知らなかったことが知れて、少し嬉しいなっ。


「入れといた」


いつの間にか山本君は自分のスマホをポケットにしまい、私のスマホも返してくれた。


「あっ、ありがとう!」


私はアドレス帳を開いた。


最後のほうにあった、山本君のアドレス。


昨日まではなかった、その『山本 一哉』の名前に、嬉しく感じて、私はスマホをそっと抱きしめた。


「じゃ、メール来たら飛んでこいよ」


山本君はそれだけ言うと、うつぶせになって、再び寝てしまった。


「待ってますっ」


私は背筋を伸ばして言った。


お勉強、今回こそ真面目に頑張らなきゃね!