「んー…本当に何にもなかったのかなぁ…」


私は机にうつぶせになってひとり言をこぼした。


すると、


「なにぶつぶつ言ってんの」


「山本君っ!」


び、びっくりしたー……


急に声をかけられたから、心臓止まるかと思ったよ!


「なんかあったのか?もしかして失恋……とか」


山本君は冗談まじりに言った。


今は本当に違うことを考えていたけれど、昨日の夜は、翔太くんのことを思うと胸がちくっと痛くなったりもした。


でも……気づけば今、胸が痛んでいない。


翔太君のこと、ちゃんと過去のことにできてるからだと思う。


「失恋じゃないけど…悩みごとみたいな感じ、ですかね」


ちょっと照れくさくなって、笑いながら言った。


気にしてくれたことが嬉しくって。


山本くんにとって、私は友達だと思ってもらえてるのかなぁ。