君へのキモチ

「ま、とりあえず教室戻ろうぜ」


長瀬君の言葉におのおの足を動かす。


やっぱり長瀬君には、人を動かす力があるんだなぁなんて思う。


「二人もさ、仲良くすんのはいいけど。ずっとそうしたまんまなのも、見せつけられてる気がすんだけど」


「え?」


何のことを言っているのかよくわからなくて、聞き返すけれど、長瀬君は一瞬まぶしそうに目を細めて。でも、すぐにいつものクールな表情に戻ってこちらに背を向けた。


「な、何だろうね……」


山本君に小さくつぶやいて、そのまま歩き出そうとしたとき、ぐんっと何かに引っ張られて。


「わっ、」


後ろ向きに倒れそうになって何とか踏みとどまる。


そのとき、長瀬君の言っていた意味が、ようやく理解できた。


手、ずっとつないだままだったんだ。


ぶわぁと、顔が赤くなっていくのが分かる。一度意識してしまうと、なかなか熱はおさまらない。


「あ、の……山本君、手を……」



教室に戻るわけだし、そろそろ離してって言おうと思ったんだけど。


「わわっ、危なっ」


もう一度後ろに、今度はさっきよりも強く引っ張られて、今度こそひっくり返りそうになる。


「山本君、あの…………っ」









一瞬、何が起こったのか、分からなかった。だって、瞬きする暇も与えないくらい、唐突だった、から。





まつ毛が触れちゃうほど近くに山本君の顔があって、頭が真っ白になって、唇にふわっと温かいものが触れて。




ただ、時間が、止まった気がしたんだ……。