君へのキモチ

三年生には及ばなかったけれど、見事学年一位という表彰状を手にすることのできた私達。


閉会式も無事に終わって、今はテントを片付けている。


グラウンドを見渡したら、体育祭が終わってしまったのだと改めて感じ、少し寂しい気もした。


ふっと最後のクラス対抗リレーの最後の瞬間を思い出した。


本当に一瞬のことだったんだ…


ゴールテープまで後、50mくらいのところで、C組の男子は少し余裕ができたのか、ペースが緩み始めていた。


そんな中でも、山本君は疲れを全く感じさせないくらい速くて。流れるように前に躍り出た。


そこからはあっという間で。
C組が唖然とするなか、山本君は最後まで走り抜いてゴールテープを切った。一番に。


C組はかなり落ち込んでいるみたいで、アンカーだった男子は泣いているようだった。


その姿には胸が痛んだけど、山本君が掴んでくれた勝利だから、やっぱり喜ばずにはいられない。


「やったね!優菜ちゃ、」


さっと振りかえって優菜ちゃんにハイタッチを求めようとしたんだけど、私が振り返った先にいたのは優菜ちゃんではなく、山本君だった。


「あっ、えと……ごめ、間違えまし、た」


優菜ちゃんだと思って前に出した手をゆっくりと下ろそうとしたとき。


「ふはっ、俺東じゃねーけど…はい」


笑い声と共に聞こえたパンッという音に驚きが隠せない。


山本君が合わせてくれた手のひらに、じわじわと熱が集まっていく。


そっと顔を上げれば、君の笑顔があって。


まだ、君は手の届く距離にいる。今は、まだ……


でも、もうすぐで山本君は手の届かない、もう気持ちを伝えることのできない所に行ってしまうんだ……


無意識に、まだ熱のある右手をぎゅっと握っていた。