君へのキモチ

長瀬君に続き、クラスのみんな一生懸命走ってくれたんだけど、C組も一生懸命なのは同じで、距離はあっという間に縮まってしまった。


そうしている間にも私の前に並んでいる子がどんどん減っていって、ついに私の走る番が来てしまった。


ぎゅっと拳を握りしめていたせいで汗がじっとりとにじんでいた。


私は少しふらつき気味に立ち上がると、頼りない足取りでレーンに立った。


バトンを受け取る準備をして後ろを振り返ると、もうすぐ後ろに走ってきていて思わずひるんでしまう。


そのとき、半周先でじっとこちらを見ている山本君と目があった。


「っ」


優しくうなずいてくれた君を、信じて、バトンを繋ぐよっ……!


「芽瑠ちゃっ、おねがっ……!!」


「はいっ、」


私にむかって伸ばされた手からしっかりバトンを受け取って、大きく一歩を踏み出した。


速く走ろうとすればするほど風が邪魔をしてくる。まるで壁に体当たりしてきているみたいだ。


そんな中でも聞こえてきたのは、皆の声。


「芽瑠ーーっ!頑張れーーー!!」


「日向、いけーーっ」


皆の声に答えたい。私のせいで負けたくない。皆で、山本君と笑いたい。


カーブを曲がったとき、思わずふらついてしまった足にぐっと力を込めて踏みとどまる。


すぐ後ろからは足音がしているから、もうC組の子が追いついてきているのだと思う。でも私には後ろを気にする余裕もなく、山本君を見つめてただ走った。


私と山本君の距離が近づいていく。あとちょっと、もうちょっとだから、頑張らなきゃっ……


「山本く、ん!はいっ」


「任せろ」


精いっぱい伸ばした私の手から山本君にバトンが渡る。バトンと一緒に、私の想いは君に届いたかな。