君へのキモチ

「それじゃ、よ、よろしくお願いしますっ!」


上がりまくった口角を少し抑えつつ、改めてぺこっと頭を下げた。



「俺のこと……信じてバトン渡せよ」



頭上から、さっきとはちょっと違う悲しげな声が聞こえた。


でも、私が顔を上げた時には山本君の口角はにっと上がっていてよろしくな、と一言だけ残して私に背を向けた。


そんなの……決まってるよ…っ……


「もちろん、信じてる…よ……」


少し遠くなった山本君の背中に向かってつぶやいて、私も皆の待つ入場門のほうへ向かった。



「あっ、芽瑠ちゃーん!!山本君も、遅いよー」


「ごめんねっ」


ぷーっとかわいく頬を膨らませている美玲ちゃんに癒されつつ皆に謝ると、何やかんや言いながら盛り上がり始めた皆に気づく。


そんな様子を眺めていると、優菜ちゃんがにっと笑って言った。


「さぁさっ!我らがリーダー、実行委員のお二方もそろったわけですし、ここは体育祭らしく、円陣といきましょうかぁっ!」


優菜ちゃんの声にみんな反応して、あたふたしている私をよそに円陣を組み始めた。


そろりと優菜ちゃんたちの隣に行った私に優菜ちゃんは無言でほほ笑んだ。こ、怖い……


あ、あれ?なぜか私が入ろうとしたところに限ってすごくがっちり肩を組んでいるんですけど?


まるでここは入れないから他をあたってと言いたげな微笑みを皆に浮かべられ……


円陣の中を駆け回ってようやく一か所に入れてもらえた。


「ふーっ、ありがと……う、」


心優しいお隣さんにお礼を言おうと顔を上げて、私はようやくクラスのみんなの回りくどい目的に気が付いた。


なんで私を山本君の隣にしたがっているのかよくわからないけど……もっとほかの方法なかったですかね?皆さん……