『ただいまのレースの結果はー、1位……B組~!2位………』


三年生のテントから聞こえてくる歓声、拍手。


我に返って、今は体育祭の最中なのだと気づく。


私……どれくらいの間ぼーっとしてたんだろ。


顔をゆっくり上げて、あたりを見渡して親友二人の姿がないことに気づいた。


「あの、優菜ちゃんたちってどこにいるか知ってる?」


「あ?東ならさっき山本に声かけられて、二人でどっか行ったけど……」


「えっ?そ、そっか……」


教えてくれた男子にお礼を言って、クラステントを出る。


山本君が、優菜ちゃんと?何の用事だろう………?


関係ないでしょ、って頭の中で言う私もいるけど。


………でも、やっぱりっ……




気づいた時には、走り出していた。


探す当てなんてないけど、ただ走り回った。


人が多くてもしかしたらすれ違ったかもしれないけど、そんなことを気にする余裕もなくて……


「はぁ……っはぁ………やまも、とくっ……」


私の小さな声は人込みの中に消えていった……