君へのキモチ

複雑な気持ちで元の練習していた場所に戻ると、すでに長瀬君は戻っていた。


山本君のところに行っていたからかな……長瀬君の顔を見ることができない。


「遅れてごめんなさいっ。練習再開しようか」


私は目を泳がせながら言った。


「ん、そうだな」


あれ……長瀬君の声、ちょっと掠れてる?


「あ、の…余計なお世話だったらごめんなさい。もしかしてのど、調子悪いんですか?」


えいっと顔を上げて、長瀬君と視線を合わせる。


「まぁ、少し」


長瀬君は困ったように眉を下げて笑っていた。


長瀬君は大丈夫だからって言ってるけど……


うーん……なにか私にしてあげられることはないのかな?


「…?そんな気にするほどじゃないけど?練習再開するぞ」


「はい…」


不思議そうな長瀬君に一応返事はしたけれど、本当は長瀬君が言ったことなんて聞いていなかった。


長瀬君には、足の遅い私をカバーしてもらっているし……なにか恩返しができたらいいなぁ。