教室に入ると、ちょうど2時間目が終わった後の休み時間のようだった。


ちらりと山本君のほうに視線を向けると、彼だけはこちらを見ていなかった。


少しだけみんなの視線を感じながら自分の席に着く。


そっと顔を上げてみたとき、クラスメイト達はもうこちらを気にしていないようで、おのおのの会話をしていた。


きっと、皆なりの気遣いなんだ…


ふーっと息をついていると、優菜ちゃんと美玲ちゃんがこちらに駆け寄ってきた。


私は明るい声を出した。二人に心配させたくないから…


「次古典だよねー?絶対寝ちゃうよぉ」


しかし二人は明るい私に驚くでもなく、いつもの調子で言った。


「それ嫌味にしか聞こえないから!」

「芽瑠ちゃん古典得意でしょ?」


いや、いつもどおりなんかじゃない。無理して明るく接しようとしてくれているのが伝わってきて、悲しくなった。


結局、私は二人を傷つけてばっかり…


こんな不器用な自分が嫌で仕方なくなる。