君へのキモチ

急いで廊下を走っていると、少し先に山本君の背中を見つけた。


「山本君っ!」


私は大きな声で名前を呼んだ。


山本君の足が止まって…私はようやく彼に追いついた。


「何?」


山本君の冷たい視線に悲しみをおぼえながらも、私は必死に言葉を探した。


「えっと、何かわからないことがあったら聞いてもいいかな」


勇気を振り絞って言ったことは…


「神谷先生にでも聞けば…」


山本君に冷たくあしらわれてしまう。


どうすれば前みたいに話せるんだろう?


私があせっていると、山本君はぼそっと言った。


「もう、帰るから」


「えと、バイバ……」


さようならを聞くこともなく、山本君は私に背を向けた。


振ろうとした手は力を失って、ゆっくりと下がる。


夕日が差し込む廊下に、一人ぼーっと立っていた。


「帰ろう、かな……」


寂しい気持ちを少しでも紛らわすように、無理して明るい声を出してみる。


でもやっぱり、気持ちは明るくならなくて。


結局肩を落として帰ろうとした。