君へのキモチ

「あの、俺時間ないんで。早く話し始めてもらってもいいですか」


神谷先生の笑い声が響く中、山本君がいつになく低い声で言った。


ごめんごめん、と言って笑うのをやめた神谷先生は、わきに抱えていたプリントを見ながら、私たちに実行委員の仕事内容を教えてくれた。


話を聞いている最中、何度も山本君を見ていたら、山本君が神谷先生を鋭い目で見ているように思えた。


神谷先生はそのことに気づかず説明を終えて、何か質問はあるかな?と言った。


「あ、大丈夫です。ありがとうございますっ」


私が笑顔で答えると、山本君が小さく舌打ちをした。


「や、山本君?」


山本君のほうを見ると、彼はとても不機嫌そうな顔をしていた。


「っと、話は以上だけど…」


部屋の重い空気に気づいた先生は、私と山本君の顔を交互に眺めた。


「じゃ、帰ります」


山本君はくるっと後ろを向くと、さっさと会議室から出て行ってしまった。


残された私と神谷先生は呆気にとられていた。


いや、それより山本君を追いかけなきゃ。


私は神谷先生に頭を下げると、山本君を追って会議室を後にした。