~一哉side~


「ははっ……本当サイテーだな」


口から乾いた笑いがこぼれる。


頬を冷たいものが伝ったけど、気にならない。


心が……えぐられたように痛い。


「って、俺が傷ついてどうすんだよ。傷ついたのはあいつなのに……」


優しいあいつは最後まで俺を責めなかった。


そんな優しいあいつだからこそ、俺はサイテーな奴になりきったんだ。









こうするしか……なかったんだ…っ。


拳で壁を思いっきり殴る。


「……っ」


屋上の扉の向こうからは、あいつの泣く声がする。




泣かせてごめん……


何も思い出作ってあげれなくて、ごめん……


こんな俺だけど、日向のこと……本当に好きだよ…


もう伝えられないなら……心の中で思うくらい許してくれよ…


いや、それも許されないのかな……





「ごめん、日向。ずっと…そばにいたかった……っ」