「なんで……」


私は教室のドアの前で小さくつぶやいた。


山本君からの連絡を待つと決めた日から、どこにいてもスマホを気にしていた。


ずっと、待ってた……


でも、連絡は来なくて。あっけなく私の夏休みは、終わってしまった。






今日は二学期の始業式。


山本君…どんな顔をするかな……


そんなことを考えていたら、昨日の夜は眠れなかった。


そして今日……。


私は教室の中を見て、涙があふれそうになった。


久しぶりに見た彼は、落ち込んでる風には見えなくて。いつもみたいに友達とふざけあっていた。


もしかして、山本君私のこと忘れてる?好きって言ってくれたのは、うそ……?


教室に入るのが嫌だった。このまま学校をさぼっちゃおうか、とも思った。


けど、やっぱり直接山本君の口からあの日の話が聞きたくて。


意を決して教室の中に入った。