君へのキモチ

「山本君、お、お待たせしましたっ」


「……」


こちらを向いた山本君は、ピタっと動きを止めた。


「……?」


私が首をかしげると、山本君はふいっと顔をそむけてしまった。


「浴衣……着たんだ」


……気づいてくれたっ。


私はそれがうれしくて、頬の筋肉を緩めた。


「はいっ」


すると山本君は目線だけこちらに向けて、ぼそりとつぶやいた。


「………似合ってる」


「……っ」


山本君の顔は少し赤いけど、私の顔はそれ以上に赤いだろうな……


……浴衣、着てきてよかった。


今が幸せすぎて、今日の終わりが来るのが怖くて……


私は顔をくしゃっとさせて笑った。


「ありがとうございますっ」


なんでか山本君はさらに顔を赤くし、右手で口元をおおっていたけど、私はそんなこと気にならないくらい幸せな気持ちだった。