「お母さん……、すごいよっ」


お母さんの器用さには、本当にびっくりした。


着付けは早いうえに上手だし、髪はおくれ毛を少し残したふわふわのお団子にしてくれた。


黄色地に金魚模様の浴衣は一目ぼれして買ったもの。


赤いちりめん柄の巾着袋をもって、げたをはいたら。


「よし、準備完了っ……行ってきますっ」


行ってらっしゃい~と手をふっているいるお母さんに笑顔で言うと、深呼吸をして玄関の扉を開けた。