「男の子と行くの、初めてだ……」


家に着いて、ふと思いついたことを口にしてしてしまった。


「えっ、なぁに?」


それをリビングにいたお母さんが聞きつけて飛んできた。


「お、お母さんっ?」


振り返るとお母さんはニコニコいや、ニヤニヤしていて。


「もしかして、明日の夏祭り?」


うっ……鋭いっ。


私は顔を赤くしながらうなずいた。


お母さんはいいわねぇと言ったかと思うと、急に思いついたように大きな声を出したた。


「あーっ、浴衣だしとかなきゃねっ」


パタパタと押し入れにかけていくお母さんをぼーっと見ていたけど、はっとした。


「えっ……浴衣っ!?む、むむ、無理っ」


浴衣なんて私には似合わないよ…!


ちょっと落ち込んでいると、お母さんが優しく笑いながら戻ってきた。


「浴衣のほうが喜ぶんじゃなぁい?一緒に行く男の子も」


山本君が……?喜ぶ、のかな?


うん、それなら頑張ってみようかな……


「任せてっ。お母さんが着付けも髪の毛もやってあげるから~」


山本君に、ちょっとでもかわいいって思ってほしいな……


私はお母さんにお願いすることにした。