「こいつ、寝てたんじゃないっすよ」


「……っ」


立ち上がった山本君は先生の目を見ながら、はっきりと言った。


え、?もしかして……私を助けてくれて、る?


先生は驚いたのか、


「じ、じゃあどうして俺が入ってきた瞬間ぶっ倒れたんだよ?」


とさっきよりも少し小さい声で言った。


「それは…」


私はちらりと美玲ちゃんを見た。


美玲ちゃんは今にも泣きそうな目で見つめ返してきた。


美玲ちゃんは私が守らなきゃ…!


私は覚悟を決めると先生のほうを向いた。


そして、口を開こうとしたそのとき……








「もう、よくね?そんな怒んなくても」


山本君は黒色のさらっとした髪をかきあげるようにして、先生に言った。


軽いようで軽くないその声は、強い意志があるように感じて。


ドキンッ……


先生を見据える横顔、ちょっとカッコいいかも、なぁんて…






…あれ、後ろからすごい殺気を感じるのは気のせいでしょうか?