君へのキモチ

必要なものを入れたカバンを斜め掛けにして玄関に行くと、お母さんが見送りに来てくれた。


「いってらっしゃぁい!彼氏の応援~?」


「ちっ、違うよっ!」


火照ってきた顔を隠すように、手に持っていた麦わら帽子を深めにかぶった。


「行ってきまーすっ!」


そして、ニコニコと笑うお母さんから逃げるようにして家を出た。


もうっ、お母さんってばっ…!


そう呟いてみたけれど、頬も口許も少し緩んでいて。


「彼氏…かぁ~」


私にも、いつかできるのかなぁなんて考えて。


ふふっと笑いながら、頭の中に彼氏(仮)像を思い浮かべてみた。


その人は……


「えっ、なんで山本君っ!?」


頭の中に浮かんだ山本君を必死で消しにかかる。


今日、私は美玲ちゃんのために働くんだからっ。


気を取り直して、学校前で止まるバスに乗った。