君へのキモチ

私は驚きで声が出なかった。


何か言おうとしても、喉の奥がひゅうっというだけで。


そんな私にかまわず山本君は続けた。


「俺、二階にいたんだけど。下見たらお前っぽいやつがしゃがみこんでるし、呼んでも返事ねーし……あせった…」


私は山本君の顔を見上げた。


「……っ!」


「ちょ、今こっち見んなっ、」


必死で顔を隠す山本君は……


ビックリするくらい真っ赤になっていた。


走ってきたから?それとも…私と一緒で、照れているから……なのかな。


ズキッ、と胸が苦しくなった。


そのとき脳裏を横切ったのは、美玲ちゃんの切ない表情だった…



……なにやってるんだろう、私。


こんなことしてちゃ、ダメじゃんか…




トンっ……


小さく山本君を押し返した。


これが、私にできる精一杯の抵抗のつもりだった。


山本君は、はっとすると急いで私から離れた。


少し寂しく感じたけど、これでいいんだって自分に言い聞かせた。


寂しく感じたのは、ただ…人の温もりが心地よかっただけで…それだけだよ…きっと。