溺れ愛





ちぃにさよならと言ったのは俺なのに。


おかしいよ、本当。


まるで別れを告げられたみたいに胸が痛むんだから。


痛々しいちぃの左手首はかなり腫れあがっていて、辛くないわけない。


そのうえ足まで打撲してる。


それでも俺の心配をしてくれたちぃに、どうして突き放す言葉を言わなければいけない?


手放したくなんてない。


だから、俺からの別れに涙するちぃの瞼にキスをせずにはいられなかった。


本当ダメだね、俺は。


悪役にもなりきれないなんて。



「良平先輩遅いですヨー♪」



ちぃに別れを告げて、病院の外に出れば・・・不快なくらいに甘ったるい声が耳まで届く。



「・・・君の要望通りにしただけだよ」



すかさず組まれた腕に嫌悪感が隠せない。



「ウフフ♪真由美嬉しい!ねぇ、良平先輩・・今から真由美の家にきくだサイ♪」



本当、憎くて仕方ない。


ちぃを傷つけたこの子が。


ちぃを守れなかった俺が。


許せない。