溺れ愛





教室について、席に座る。


名前順だから私の後ろは良平くん。


な、なんかソワソワしちゃって落ち着かない・・・。


振り向きたいのに、振り向けなくて。



「ねぇ、千愛。来週さっそく遠足らしーわよ?」



隣の席が弥生ちゃんなのが救いだなぁ。



「そうなの?」

「まぁ、毎年のことらしいわ。親睦会的な感じよ。・・・男女混合の班よ?」



男女、混合・・・。


つまり?



「つまり、どゆこと?」

「ハァ。千愛!しっかりしなさいよ」



弥生ちゃんが私の耳をひっぱって



「あんたの王子様、他の子と組ませちゃっていいわけ?」

「や、ヤダです・・・」

「でしょ?頑張んなさいよ~。ほら、もう女に囲まれてるわよ」

「え!?」



慌てて後ろを振り返ればさっきのギャルちゃんに囲まれてる良平くん。


ギャルちゃん以外にも囲まれてる!?



「ねぇ、良平。あたしらと組もうよ~」

「来週の遠足、男女三人ずつで自由班なんだって!いいでしょ?良平」

「んー。どうしようかな?山田と山口と行くのも楽しそうだけど」



あう~・・どうしよう。


これは、行っちゃうよね・・・。


もっと早く気が付けば良かったです。


でもでも!


私と一緒とじゃイヤかもだし・・・。


はぅぅ~。



「高木、俺と遠足班組んでくんね?」



私が頭を抱えてどうしようか悩んでいると、一人の男の子に話しかけられた。



「あら、結城じゃない」

「結城くん。いいよ~」



結城くんも弥生ちゃん同様に中学からの仲良しさん。


あんまり男の子と話さない私にとって、数少ない男友達でかなり信頼してる。



「うっしゃ!あんま知り合いいねぇからよ、高木と水原いてラッキーだ」



頭をワシャワシャされた・・・。



「あう~・・これ自分じゃ直せないんだよ?」

「あ、わりぃ!」



良平くんにやってもらったんだもん。



「高木ちっこいからよー、なんか頭撫でたくなんだって!」



むぅ。


いっつも結城くんは私のこと子供扱いするです・・・。