溺れ愛




「おにーちゃんなんて、大っ嫌い!!」



乃ノ香ちゃんはフルーツバスケットからリンゴを取り出して、武くんに投げつけた。


そしてそのまま駆けるようにして病室から出ていった。


こ、これは・・・。


修羅場というやつなのでしょうか!?



「あ、あの!私おいかけて・・・」

「行くな!!これで、良いんだよ」



咄嗟に乃ノ香ちゃんを追いかけようとしたけれど、掴まれていた手を武くんが離してくれなかった。



「武、くん?」



不思議に思って武くんの顔をちらっと覗いてみたら・・・。


とっても苦しそうな表情をしていて・・・。


私はそれ以上何かを言うことが出来なかった。


乃ノ香ちゃんは武くんのことをおにーちゃんって呼んでたです。


つまり、妹さんってことでいいのかな?


武くんの眉間には皺が寄っていて、何やら思いつめてしまっているみたい・・・。


二人の間に何があったのかは分からないけど、今の武くんはなんだか壊れてしまいそうで。


私はひたすら頭を撫で続けるしかなかった。


武くんはそれを振り払うことはせずにただただ受け入れていた。


このままにしておいて良いのかな・・・。


武くんは私が何かをすることを望まないだろうけど、武くんも乃ノ香ちゃんも辛そうで、なんだか私まで胸が痛いです・・・。