溺れ愛




「・・・出てけって言ってんだろ!!」



来なくていいと言われたけれど、やっぱり少し気になって午後から病院にやってきちゃいました。


お見舞いの果物を持って武くんの病室の近くまでくると、怒鳴り声が聞こえてきた。


この声は明らかに武くんの声で・・・。


誰か来ているのかな?


っていうか、何かあったのかな!?



「武くん?大丈夫!?」



事態も飲み込めないまま、慌てて病室のドアをスライドさせた。



「・・・千愛・・・」



そこにいたのはベッドで上半身を起こしている武くんと、その傍らに立っている女の子。


あれ?



「もしかして、乃ノ香ちゃん?」



この前は制服を着ていたけど、今日は私服だ。


だけど髪型はこの前と同じツインテールです。



「千愛さん・・・」



どうやら乃ノ香ちゃんも私だって気づいてくれたみたい。


一瞬目があったけど、すぐにそらされてしまって乃ノ香ちゃんは俯いてしまった。



「あの、怒鳴り声が聞こえたから・・・」

「別になんでもねーよ。ったく、今日は来なくて良いって言ったのに来やがって。こっちこい」



武くんにそう言われて歩み寄ってみたけど・・・雰囲気がとても重いです・・・。


さっき怒鳴り声が聞こえてきたし、乃ノ香ちゃんとやっぱり何かあったんだよね!?


あ、乃ノ香ちゃんの横の椅子にフルーツバスケットが置いてある・・・。


お見舞い被っちゃった!!



「あ、ごめんなさい!!私もフルーツ持ってきちゃった・・・。これ持って帰るね!!」

「いや。丁度いいから剥いてくれよ、りんご」



後ろに置いておこうと思ったら、手を武くんに掴まれて阻止されてしまった。



「のの、お前は帰れ」

「え?あの・・・武くん、私が帰るから!!」



乃ノ香ちゃんなんだか悲しそうに見えるです~・・。


俯いたまま顔をあげないし・・・。