溺れ愛




「ねぇ、ちぃ」



良平くんは繋いでいた私の右手を口元に寄せた。


な、なんでしょうか!?


今度はなんですか~・・。


ドキっとしちゃうよ。



「これはどうしたの?」



良平くんは繋いだままの右手の人差し指にちゅっとキスをして、視線を人差し指に落とした。


隠せはしないと思ったけど、案外早くバレてしまったことに心臓が一瞬ビクつく。


ありのままを伝えることは出来ない・・・。


良平くんに嘘をついたことは今までに一度もなくて。


こんな小さな嘘ですら、私はちょっぴり不安になるです。


だけど、この嘘は良平くんを傷つけるためのものじゃなくて・・・


優しい嘘なんだと思いたい。



「本をめくるときにね、切っちゃったです・・・」



よくありそうなこと。


きっと一度はみんなが経験のありそうなこと。


だからきっとバレないはず・・・だよね?



「ちぃはおっちょこちょいだね。痛かったでしょ、大丈夫?」



そう言いながら良平くんは空いている方の手で優しくバンソコウを撫でくれた。


こんな小さな自業自得の傷ですらこんなに心配してくれている良平くん。


本当のことはやっぱり言う必要はないはず。



「このくらい大丈夫!!ありがとう、良平くん」



そうです。


このくらい、全然大丈夫!!


人気者の良平くんと付き合うことはきっとこれからもこういうことがある。


でもそんなことに屈したりする私じゃないです!


ずっとずっと好きだったんだもん。


ずっとずっと隣にいたんだもん。


それはこれからだって変わらない。


だからね、


この先何があっても良平くんのそばにいさせてね・・?


お願いです、良平くん。