溺れ愛




良平くんがテキパキと対処してくれて、無事に病院までたどり着いた。


武くんは思ったよりも傷が深くて今は手術室。


命に別状はないみたいだけど・・・。


私のせいで、傷をおってしまった。



「ちぃ、おいで」



手術室の前で手を握っていると良平くんに腕を引かれた。



「そんな血だらけじゃみんな心配するよ」



血、だらけ・・・?


これは、武くんの傷を必死に抑えていたからついたもの。


私なんてことをしちゃったんだろう。



「ごめん、ちぃ。俺がそばを離れたから怖い思いをさせてしまったね」

「私なんて・・・全然。私のせいで武くんが刺されちゃったの・・・」



連れてこられたのはシャワー室で、良平くんは血がついてしまったパーカーをそっと脱がせてくれた。


温かいシャワーで手についた血と足に飛び散っていた血をゆっくり流してくれる。


私はその間も武くんが刺された時の重たい音が頭の中で反復してしまう。



「ちぃのせいじゃないよ。ごめん・・・俺のせいだ」



良平くんがタオルで手と足を優しく拭いてくれる。



「違う、違うよ・・・良平くんのせいじゃないの」



私が、いけないの。


私が何も考えずに飛び出していってしまったせいで、武くんが傷をおってしまった。



「ちぃ」



ぎゅっと良平くんに抱きしめられる。



「ちぃのせいでもないんだ。・・・こんなに震えているのによく頑張ったね、ちぃ」



良平くんの腕の強さに、涙が溢れてくる。


怖かった・・・。


怖かったよ。


通り魔の男の人も、目の前で武くんが刺されてしまったことも。


怖かった。


良平くんに抱きしめられて少しだけホッとした。