溺れ愛



ケーキを堪能して、帰り道。



「おいしかったね、弥生ちゃん」

「そうね~。相馬はいけ好かない野郎だけど、ケーキはおいしかったわね」

「あれ、興味ないんじゃなかったの?」



弥生ちゃんから男の子の名前が出るのはとっても珍しくて意外。


弥生ちゃんは興味のあるものないものがハッキリしてるから。




「相馬には興味ないわよ~。あたしが気にしてんのは千愛のことだけよ」

「私?」

「いーのよ、千愛は分からなくても」



よ、よく分からない・・・。


相馬くんと私が何か関係あるの?




「・・・千愛、ちょっと買い物して帰るわよ」

「え?」



急に弥生ちゃんが歩みをとめてそんなことを言う。


もうここの路地を曲がれば弥生ちゃんのお家なのに。


なんでだろう・・・。



「どうして・・・りょ、へ・・・くん・・・」



どうしても気になって曲がり角から覗いちゃったの。


弥生ちゃんのいうとおりにしていれば良かったのに。


どうして、良平くんが・・・いるの?


どうして、女の子と・・・


キスしてるの?


なんで・・・。



「ちょっと、千愛!!」



視界が一瞬にしてぼやける。


どうしてもその場にいたくなくて、弥生ちゃんの声すらも無視して走り出す。