溺れ愛


藤真由美との会話を全て録音したそれを見つめる相馬。


事態を、必死に飲み込もうとしてくれている。




「で、どーする気だよ。お前は」

「賭け、だよ」




一連の流れを説明する。


一応ちぃのことお願いしてるわけだしね。


何も説明しないなんて事は出来なかった。




「おま、おまえ本気で言ってるのかよ…」




目を大きく見開く相馬。




「本気だよ」


「はっっ!そこまでするとはな…狂ってんな、お前の愛」




若干引きつつも、口角をあげた相馬は肯定的だ。




「何言ってるの??最初から狂ってるよ俺は。ちぃのこと好きすぎてね。ちぃのいない世界を俺は知らない。好きな人が手の届く距離にいるのに、手を伸ばさないなんて出来ない。相手の幸せを願って身を引くなんてゴメンだね。世界がひっくり返っても手に入れる。世界が壊れても傍にいる。それくらい出来なくて、愛してるっ言えるのか、俺には疑問だよ」


「はぁん?男前なこったな」


「自分の手で幸せにする覚悟もないなら、好きなんて言わないよ」




自分の道が、どんなに過酷でも。


険しい道の歩き方を身につけてみせるよ。




「はぁ~いってぇわ」




おもむろに髪を掻き乱した相馬。




「やっぱり、お前はイケすかねぇ。人の痛いとこグサグサつつきやがって。上等だ。お前らが晴れて元通りになれば、俺も人生かける…」




何やら決意しているね。


なんのことか全然分からないけど。


吹っ切れた表情だ。


…全然、分からないけどね。




「…じゃあ、勢いつけてあげないとね。なんのことか知らないけど。見てなよ、俺の本気」

「あぁ」

「じゃあ、俺は帰るから…ちぃのことよろしく」

「分かったよ」

「あ、リハビリ頑張ってね。ちぃが君の手のこと心配してる間は俺だけのちぃでいてくれないんだからさ」

「へーへー。分かりましたよ。とっとと行けよ」



迷惑そうに手を払う相馬を尻目に、病室を後にする。


あと、少しだ。