溺れ愛


「病室はたしか…」



パーティーが終わった足で向かったのは病院。


ちぃに、会いに来たわけじゃない。


会いたい気持ちは嘘じゃないけどね。


まだ合わせる顔がない。



「よぉ、何しにきたんだ?くそったれ」



ナースステーションで聞こうかと思ったけど探す手間が省けたね。



「口はどんどん悪くなってるみたいだけど、傷はどうかな?相馬」



ちぃと同じ病院に入院中の相馬。


俺は今日、彼に会いに来た。



「あぁ、まぁ徐々に回復はしてる。千愛はまだ気にしてるけどな」



全く、怖いよね。


俺がちぃのそばを離れてる間に相馬とちぃの距離がどんどん近づいてく…。


ちぃに関しては嫉妬深いんだよね、俺って。


どうにかこの嫉妬の渦を飲み込んで相馬に向かい合う。



「そう。早く良くなるといいね」

「あぁ、因みに俺と千愛の退院は2日後だ」



社交辞令程度の会話をしつつ、移動。


相馬の病室について、相馬はベッドへ腰掛け、俺は壁に寄りかかった。



「ちぃも順調に回復してるんだね。良かった」

「まぁな。でも見てて痛いんだよ、あいつ。リハビリも無茶苦茶に頑張って、いつも笑顔で。誰にも弱みをみせねぇんだ」



分かってる…。


ちぃは昔からなんでも我慢する癖がある。


泣き虫だけど、本当は我慢強くもあるんだ。




「ずっとお前の写真握って寝てるぞ。いつになったら迎えにくんだよ。千愛の心が壊れる前に、なんとかしてやってくれよ…」




相馬の真剣な表情。


相馬って口は悪いけど実は熱い良い男なのかもね。


ちぃと俺のことを思ってくれてるのが伝わってきた。



「あと、本当に少し…のとこまで来てると思う。それでもちぃが壊れそうになってたらこれを渡して欲しい」



ポケットに入れていたものを相馬へと投げる。


受け取った相馬は不思議そうだ。



「ボイスレコーダーか?」

「そうだね。ちぃを取り戻すための切り札だよ」