溺れ愛



無言で互いを見つめ合う。


鋭い目付きの奥に揺れる、悲哀。


藤真由美は、本気だ。


本気だけど…迷ってる。



「何に、脅えてるのかな?真由美は」

「どういう意味デスカ??」

「俺のことを好きっていう気持ちだけでここまでするのかなぁって思ってさ。もう分かってるよね?君が俺を雁字搦めにすればするほど…君を、真由美を愛せないってさ」

「それは…」


「君が、苦しいなら、助ける努力は惜しまない。君のこと嫌いなわけじゃないし、出来れば幸せでいて欲しいとも思ってるよ。俺が幸せには出来ないけど」



逸らされた視線。



「さぁ、着いたね。戻ろうか、パーティーに」



タイミング悪く会場階までついたエレベーター。


核心まではつけなかった。


けど、ちぃを取り戻すために有力な証言は得られたかな。


焦れったいにもほどがあるよ、本当。


ちぃに会いたい。


抱きしめたい。


好きだと、言いたい。


苦しいくらいに好きすぎて…。


頭がおかしくなりそうだ。


ちぃに会えない日々が、心を渇かしていく。


ちぃはもう、俺のこと嫌いになったかな。


そう思うだけで苦しい。


そんなことを思いながらも、桜おばさんのいる会場へと足をむけたら





クイッ





「良平センパイ…ちゃんと、話します…」




藤真由美に腕を引かれた。



「聞いて、くれますか…?」

「聞くよ、もちろん」



俯きながらそういった藤真由美の雰囲気が少し変わっている。



「明日、真由美の家にきてください」

「…分かったよ」



余程聞かれたくないみたいだ。


この話を最後にパーティーに戻った。


後は桜おばさんの横でひたすら笑顔でいるのみだね。