溺れ愛



「桜おばさん、お手をどうぞ」

「あら、甥にエスコートされる日が来たのね」



桜おばさんに腕を差し出すと、俺をからかうような笑みでこちらを見てくる。


俺も、自分の叔母をエスコートするとは思ってなかったよ。


そう考えるとなんだか変な感じだね。


受付をすませ、会場へと足をいれる。




「桜さん、ご無沙汰しています。先日発表されていた新作とっても素敵でした…」




会場へと入るなり、桜おばさんの元へとたくさんの人たちが挨拶をしにくる。


桜おばさんに挨拶にきた人達にひたすら笑みを浮かべるのみ。


有名デザイナーなだけあって、人気女優やモデルまでもが挨拶にきてる。

このままうまくいけば、モデルとして世間に出ることになるだろうし、ヘタなことは出来ないね。



「良平、疲れたんじゃない?少しテラスで休憩してらっしゃい」

「桜おばさんは?」

「取引先の社長に挨拶してくるわ」

「じゃあちょっとドリンク飲んでこようかな」

「ええ。主催者の挨拶の頃に戻ってらっしゃいね」



桜おばさんに了承をえて、テラスへと出た。




「ふぅー。さすがに大物が多過ぎて緊張したな」




しっかりとしめていたネクタイを緩め、テラスのベンチに腰かける。



「みーつけた。良平センパイッ」



後ろから声が聞こえて、途端に視界を覆われる。


この猫なで声はひとりだけだ。



「…来てたんだね」



特にどうすることもなく、返事をした。



「そりゃあ、来ますヨォ~!良平センパイを呼んでって言ったの、真由美ですモン」



予想通り、背後にたっているのは藤真由美だ。


俺の視界をすぐに解放して、隣に腰をおろしてきた。




「どーですか??パーティー楽しんでますカァ??」


「まぁまぁ、楽しんでるよ」


「なら良かったデス♪会わせたい人がいるので一緒に来てくだサイ♪」



なにか、企んでるよね。


張り付いた笑顔が、何より物語ってる。