溺れ愛


少しの間をえて、



「さぁな?」



ニヤリと不適な笑みを浮かべるコウさん。


なるほど…。


知ってたんだね。


だとしたら……




「申し訳ありません。全部、俺のせいです…」



膝まずいて床に頭を打ち付ける。


謝って楽になりたいとか、そういうことじゃない。


だけど、ずっと謝りたかった。


コウさんの大切な娘を、守れなかったこと。



「俺も紗絵も…誰も、良平のこと恨んでなんかないよ。千愛のこと守ろうとしてくれてるのは知ってるからな。だから、なるべく良平のやり方で解決するのを見守ろうと思ってた…んだが、」



コウさんのいつもの穏やかな声色が急変し、思わず下げていた頭をあげた。



「さすがに、千愛の怪我のしかたが不可解すぎてな、色々調べたよ。やりすぎだな、今回ばかりは」



そう言いながら、前髪をかきあげるコウさん。


鋭くなった視線は、真っ直ぐに俺の目を射ぬいた。



「やるぞ、良平。ハデにな」

「はい!」



この世で一番、ちぃを愛してる2人が揃ったんだ。


絶対にこの状況を変えてみせる。



「つーわけで、今日から泊まりだぞ」

「え?」

「良平は元はいいが、ただのイケメンなだけで新商品のイメージモデルはつとまんないからな」



茶目っ気溢れる笑顔に戻ったコウさん。



「わかりました。全力で頑張ります」



まさか自分がモデルをやる日が来るとは思わなかったけど。


やるよ、ちぃとの未来のために必要なら。



「今回は男性用基礎化粧品についてだ。毎日肌の手入れと、それから筋トレ。CMとるから演技指導もいれさせてもらうぞ」



…そうだ。


今回はちぃのためとはいえコウさんの会社のイメージを担うことでもあるんだ。


中途半端なんて許されないね。