溺れ愛


ヨウの言うところの第三権力ってつまり・・・。


「マスコミってこと?」

「そうだけど?」


一体それ以外に何があるの?とでも言いたげなヨウの表情。


めちゃくちゃ当たり前な感じで言ってくるけど・・・。


マスコミだって馬鹿じゃないんだよ。


普通の高校生の言葉なんて誰が耳を傾けるんだ?っていうのが正直な感想ではあるね。



「良くん、俺だって馬鹿じゃないんだから安心してよ。考えはあるよ?」

「考えって?」

「良くんが有名になればいいんだよ」

「・・・・・・」



やっぱり、ヨウも思春期真っ盛りなんだろうね。


ちょっとだけ頭のネジが緩んでるのかもしれない。



「なんか分からないけど、良くん失礼なこと考えてるよね?」



あ、顔に出ちゃってたか。




ガチャ



急に開いたドア。




「ヨウ、ただいま!!千愛のところ行くけど一緒に行かないか・・あ、良平」

「お邪魔してます」



部屋に入ってきたのはこの家の家主で・・・つまり、ちぃとヨウの父親のコウさんだ。



「なんだなんだ?二人して神妙な面持ちして。良平はなんか疲れた顔してるけど大丈夫か??」



コウさんはいつだって優しい。


優しすぎるくらいだ・・・。


コウさんだって気づいてるはずだ。俺とちぃの事。


それなのに文句一つ言わないんだね・・・。



「良平、千愛の怪我は大丈夫だから気に病むなよ?良平は何も悪くないから」



挙句の果てにはこんなことまで言わせてしまった。



「父さん、良くんをモデルにしてよ」

「なんの?」

「男性用基礎化粧品のやつの」

「ああ、新商品のやつか」

「良くんなら顔も整ってるし、スタイルもいいでしょ?おまけに肌質も最高じゃん」

「んー。ちょっと失礼」



訳のわからないまま繰り広げられる会話。


結局ついていけないまま俺は今コウさんに顎クイをされているわけで。


どういう状況なんだ?