溺れ愛



「桜おばさん、これ」



そう言って俺が桜おばさんに差し出したのは家から持ち出した例の写真。



「ああ、ありがとね」



桜おばさんの視線が写真へと落ちる。



「これ、ビンゴだわ。この写真は確か良平が年長さんのときよね。ねぇ良平、あなたこの女の子覚えてる?」

「それが知りたくてその写真を持ってきたんだ。桜おばさんは分かるみたいだね」

「ええ・・・。今ちょっと厄介なことになっているのよねぇ。あなたも含めて」



ため息をつき、俺を見つめる桜おばさん。



「俺ってその子と会ったのその時だけ?全く記憶にないんだよね」

「あたしの記憶の限りではこの時だけのはずよ」

「そう、だよね」

「でも向こうは良平のこと覚えているみたいなのよね」



ああ、なんだ。


嫌な予感がする・・・というよりはピンときてしまった。


俺の隣で笑っているこの女の子の正体に。


この写真のパーティーの時だったんだ、出会ったのは。


でも、だからこそ余計に分からないよ。


なんで12年ぶりに俺の目の前に現れて、そしてちぃを傷つけて、俺に固執するのか。


たった一度会ったことがあるだけの俺に、一体どんな思いを抱いているのか。


パーティーの間、2時間だけ面倒を見ただけの相手をずっと思い続けることなんてあるんだろうか。


それも、幼稚園の頃の話だ。


考えれば考えるほど、謎が深まっていく。




「良平が思っているよりも厄介なのよ?このこ・・・確か名前は」

「「藤真由美」」



だろうね。